2013年2月6日水曜日

公海上での中国海軍による射撃管制用レーダー照射事件(2):解放軍の暴走か?



●NHKニュース(2)

尖閣問題では中国としては後手に回っている。
日本が「開戦可」の状態にまでいっているため、手詰まり状態になっている。
中国の戦略は孫氏の兵法で
「戦わずして勝つ」
であった。
その戦術の最初の例が尖閣になるはずであった。
十分な軍事力をもって、ひたすら反省を繰り返し謝り続ける日本を恫喝すれば、尖閣を差し出すであろうと考えた、といったところではなかろうか。
ところがあにはからんや、尖閣ではそれまでの日本とは全く違った一面を見せてきた。
いわゆる、強い日本が表面に出てきた。
これは想定外だったろう。
おそらく日本人にとっても歴史的経緯からいって中国の論はご無理ごもっともで反発せずに腹に貯めこむ姿勢に徹していた自分が信じられないくらい変わったと思っているのではないだろうか。

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<<6日も昼になったが中国側の反応がない>>
解放軍が勝手にやったことか、共産党の指示でやったことか。
仮に、解放軍が暴走したとしたら、事実を確認して、政府当局はそれを擁護する声明を出すはずだ。
それには事実確認の時間が必要で、当該実行者の見解を聞き出し、それに基づいて正当性のある言い訳を作って、担当部署を説得して合意を取り付けねばならない、という手続きが必要になる。
時間がかかるということになる。
反応が鈍いということは、共産党が直接出した命令ではないようである。
今後、政府、共産党、人民開放軍がてんでんバラバラ勝手に動き、宣伝を始める事態になるかもしれない。
共産党がコントロールを失いつつあるのかもしれない。
射撃手が意図的に、あるいはあやまってボタンを押すこともある。
公海上においてはそれは即、戦争行為となり、日中開戦ということにつながる。
航空機の接近に伴う偶発的な戦争行為の発生とはちがって、公海上では言い逃れですむことではなくなる。
日本は空でも海でもいつでも開戦の幕が切っておとされると思って、今後は対処することになるだろう。
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「公海上で中国フリゲート艦が射撃管制用レーダー照射」
に対する統一見解はまだ出ていない。

レコードチャイナ 配信日時:2013年2月6日 12時53分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69191&type=0

「日本の交渉や抗議は受け付けない」中国駐日大使が発言
=中国軍の領海侵入、レーダー照射で―中国メディア


●6日、尖閣諸島をめぐる日中間の緊張がにわかに高まる気配を見せている。中国人民解放軍海軍のフリゲート艦が東シナ海で海上自衛隊の護衛艦に対して射撃用レーダーを照射したことで、日中双方で動きが出た。

2013年2月6日、尖閣諸島をめぐる日中間の緊張がにわかに高まる気配を見せている。
中国人民解放軍海軍のフリゲート艦が東シナ海で海上自衛隊の護衛艦に対して射撃用レーダーを照射したことで、日中双方で動きが出た。
京華時報の報道。

5日、堀之内秀久駐中国公使は、中国外交部の羅照輝(ルオ・ジャオフイ)アジア局長に申し入れを行った。
「不測の事態を招きかねない危険な行為だ」
として再発防止を求めるとともに、中国国家海洋局の海洋監視船が前日に尖閣領海に侵入したことについても、厳重な抗議を行った。
羅局長からは事実関係を確認するとの回答があったという。
また、米国務省のヌーランド報道官も同日の記者会見で中国側に自制を求め、日中双方に平和的な解決の道を探るよう要求した。

程永華(チョン・ヨンホア)中国駐日本大使も同日、強い口調でこれに反ばくした。
「尖閣諸島は中国固有の領土。その海域は中国の領海である。
よって、我々の海洋監視船は公務として正常なる巡航を行っているにすぎない。
中国側は日本の交渉や抗議は受け付けない。
また、前述の公務に対する妨害活動の停止を日本側に求める」
とした。
これは、斎木昭隆外務審議官が程大使を外務省に招へいし、中国海洋監視船の領海侵入に抗議した際の発言。



 さて、その気になった日本と、この問題から身を引いてうまく鉾を収めたい中国が、公海上で即発状態で対峙してしまったのがこのレーダ照射事件である。
 問題の根源は「公海上」という部分にある。
 係争領域なら威嚇・脅しで済むが公海上となると、そうは簡単に済まない。
 つまり国際ルールに適して
 明らかに戦闘行為に準じる
ものとして解釈されてことである。
 もっと言えば
 「中国海軍は日本と戦闘状態に入れり」
と言ってもあながち間違いではないということだ。
 たとえ、一発の弾丸を発射していなくても。
 自衛隊の艦艇は対抗行為をしなかったようで、緊急退避したが、もし銃撃を受けたら3キロという至近距離では相当の被害を受けることになったであろう。

 2度レーザーの照射があり、今回その警告を中国に出した、ということはどういうことか。
 「3回目」があったら、日本も対抗措置をとるという警告だとみるのが順当だろう。
 とすると、対抗処置とは何かということになる。
 照射されたら照射仕返す
といった単純なものではないはずである。
 おそらく、
 警告を発した以上、今後の射撃用レーザー照射は戦闘通告とみなす
ということになるのではないだろうか。 
 どういうことかというと、
 公海上が戦域になる
ということである。
 公海上で射撃用レーザー照射を行えば、そうならざるを得ない。
 尖閣諸島の領域と限られた海域だけでなく
 東シナ海の公海がこの事件によって一気に戦闘域に拡大される
可能性が大きくなってきている、ということになる。

 中国としては相当に不利になる。
 日本が警告を発した以上、日本は東シナ海を准戦闘地域とするだろう。
 とすれば同じように尖閣海域もこれまで軍事戦闘とは何のからみもない場所であったが、今回の件で同様に尖閣は准戦闘地域になる。
 ということは、この海域にいままで通行を自制していた自衛隊艦が大義名分を得て堂々と入ってくる。
 もはやこの海域は
 巡視船の管轄ではなくなり、自衛隊の管制下に入って
いくことになる。
 こうなると、もう日本と中国の力比べしか残された道はなくなる。
 よって、
 解放軍海軍は次のレーザー照射の一発を実行するか?
にすべてがかかってくる。
 共産党は極力抑えこもうとするだろうが、どうも今の共産党には解放軍をコントロールする力はないようである。
 反日尖閣を煽った張本人が共産党だとすると、共産党としても解放軍に強く出られない。
 「弱腰」を非難されるのがおちになる。

 次に問題になってくるのは、東シナ海が准戦闘海域になったとき、あるいはそうなる可能性が高くなったときの周囲の影響である。
 公海が戦闘域になれば民間船舶の運行に支障が出てくる。
 もちろん、軍船は民間船を狙うことはないが、それでも
 「いつどこで何が」
という警戒感が先立ち、心理的に窮屈になる。
 安心してのびのびと航行するというわけにはいかなくなってくる。
 東シナ海が准戦闘海域になれば資本は逃亡する。
 戦争当事国に資本をおいておくほど外資は危険に鈍感ではない。
 中国からの資本の引き上げが加速する。
 中国は貿易国である。
 輸入と輸出の差分で大きな外貨準備金を蓄え、経済成長を成してきた。
 その貿易に支障が出てくる。
 貿易船舶の出入りが細くなってくる。
 上海、北京の海の窓口が戦争域になればそうなるしかない。
 
 そのようにみてくると、今回のレーザー照射は解放軍の独走という部分が強いが、中国に大きな負担を及ぼしかねない事件となっていく可能性が大きい。
 そしてその原因は、あのデモを意図的に煽った尖閣問題であることだけは確かである。
 中国の読みが裏目に出始めてきているのかもしれない。
 打つ手打つ手に反作用的な要因が絡まってきている。




【中国海軍射撃用レーダー照射】



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