2013年2月6日水曜日

公海上での中国海軍による射撃管制用レーダー照射事件(1):先に手を出した中国




中国艦にレーダー照射された海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」



(2013年2月6日07時43分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130205-OYT1T01270.htm

中国艦のレーダー照射について発表する小野寺防衛相

小野寺防衛相は5日夜、東シナ海で1月30日、警戒監視中の海上自衛隊の護衛艦に対し、
中国海軍艦艇が射撃の目標をとらえる火器管制用のレーダー照射をした
と発表した。

同月19日にも、東シナ海で中国海軍艦艇が、飛行中の海上自衛隊艦艇の搭載ヘリにレーダーを照射した疑いがあるとした。
 いずれも公海上で起きたという。
日本政府は外交ルートを通じ、中国に抗議した。
中国側が軍事衝突につながりかねない行動に踏み切ったことで、日中関係の緊張がさらに高まるのは必至だ。
他国の艦船などに射撃用のレーダーを照射することは「明確な威嚇行為」(防衛省幹部)で、実際の攻撃に準じる危険な行為だ。

防衛省によると、1月30日午前10時頃、東シナ海の公海上で海自第7護衛隊の護衛艦「ゆうだち」が航行中に、
中国海軍のフリゲート艦「ジャンウェイ2級」からレーダー照射を受けた。
政府関係者によると、尖閣諸島の北方百数十キロだったという。
護衛艦のデータを分析した結果、中国の火器管制用レーダーと判明した。
照射は数分間続き、護衛艦は進路変更などの回避行動を取った。
距離は約3キロ離れていた。
 中国艦艇から事前の警告などはなかったという。
一般的に、照射から数秒で射撃可能という。



ANNビュース


TBSニュース





スポニチ [ 2013年2月6日 06:00 ]
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/02/06/kiji/K20130206005136080.html

尖閣沖 海自護衛艦に中国艦艇レーダー照射、政府は厳重抗議

政府は5日、東シナ海の公海上で先月30日午前10時ごろ、中国海軍の艦艇が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用のレーダーを照射したと発表した。
政府筋は沖縄・尖閣諸島沖だったと明かした。
日本側は不測の軍事衝突を招きかねない「極めて危険な行為」として中国に厳重抗議し、再発防止を求めた。
昨年の尖閣国有化以来対立が続く両国の緊張が高まるのは避けられない。

防衛省で午後7時ごろから緊急会見した小野寺五典防衛相は、
「一歩間違えると大変危険な状況に陥る」
と緊張気味に切り出した。

平時の位置探索などと異なる射撃用レーダーの照射は
「極めて特異な事例だ」
と語気を強め中国側を批判。
「現場には緊張が走る事態だった」
「よほどの行為」
“一触即発”の状況を繰り返し語った。

中国側の意図については「分からない」とした。
政府内には、尖閣問題をめぐって日本側を威嚇する意図があったとの見方が出ている

発表によると、レーダーは中国海軍所属のフリゲート艦が長崎・佐世保基地所属の護衛艦「ゆうだち」に数分間照射。
双方は約3キロ離れていた。
事案が発生した正確な位置は明らかにしなかった。

また1月19日午後5時ごろにも東シナ海で神奈川・横須賀基地所属の護衛艦「おおなみ」搭載のヘリコプターに対し、別の中国フリゲート艦からレーダー照射が疑われる事案があったことも明らかにした。
いずれも実際の射撃はなかった。

射撃用レーダーはミサイルなどの火器が目標を定め追尾するため、距離などを調べ、照準を合わせる機能を持つ。
防衛省幹部は「獲物を狙うために使う」と評し、航空機や艦艇の位置を追跡するレーダーとは異なる。
護衛艦は照射対象として「ロックオン(固定)」されており、発射ボタンを押せば攻撃が始まるという状態だった。
自衛隊幹部は
「実際に撃たれていなくても、照射されただけで反撃する国もある。
 通常では考えられない行動」
と危険性を説明する。

現場は東シナ海の公海上で、どの国の艦船も自由に行動する権利を持つ。
尖閣諸島周辺で中国船が領海侵入を繰り返しても、海自は遠巻きの監視にとどめ、
偶発的な衝突を避ける抑制的な対応を取ってきた。

防衛相は先月の事案発生から発表まで約1週間かかった理由について
「正確な分析に時間がかかった」
とした。

安倍晋三首相は5日午後、防衛相と官邸で今後の対策を協議し、万全な対応を取るよう指示。
「挑発に乗ってはいけない。
冷静に対処することが大事だ」
と語った。

▽:射撃管制用レーダー 
敵の艦船や航空機にミサイルや大砲などの照準を合わせるため用いるレーダー。
相手の速度や自分との距離などを把握し、得られたデータに基づきミサイルを発射、誘導する。
船舶や航空機を探索するレーダーはアンテナを回転させるなどして周囲をくまなく監視するのに対し、射撃管制用レーダーは相手を「ロックオン」し、電波の周波数も探索用とは違いがある。
軍艦や軍用機は相手からのレーダー電波を検知し周波数などを分析、自分が攻撃対象になっているか確認するシステムを備えていることが多い。

▼:茅原郁生・拓殖大名誉教授 
極めて挑発的。
中国軍の国家的な意図を持った行為なのか、現場の指揮官レベルの判断なのかが問題だ。
中国共産党の習近平総書記が山口那津男公明党代表と会談するなど関係改善の兆しが見えていただけに現場の勇み足の可能性もあるのではないか。
日本は過激な反応を慎んで外交ルートで中国に強く反省を促し射撃が行われるような事態を避けなければならない。



jiji.com (2013/02 /06-07:24)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013020600057

レーダー照射に「懸念」=日中の緊張激化を警告-米

【ワシントン時事】
米国務省のヌーランド報道官は5日の記者会見で、
中国海軍のフリゲート艦が東シナ海で海上自衛隊の護衛艦に射撃用の火器管制レーダーを照射したことについて「懸念」を表明し、
こうした行動は沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中間の緊張をエスカレートさせる可能性があると警告した。

国防総省も今回の問題を受けて声明を出し、
「尖閣諸島に関する米政府の方針と関与の姿勢は変わっていない」
と明言。
対日防衛義務を定めた日米安全保障条約の適用範囲にあるとした見解は不変との立場を強調した。
ヌーランド報道官は記者会見で、中国側の行動について
「偶発事件や誤算のリスクを増やし、地域の平和と安定、経済成長を損ねかねない」
と述べ、日中間で問題の平和的な解決に取り組むよう改めて求めた。

報道官によれば、ケリー国務長官と中国の楊潔※(※=タケカンムリに褫のつくり)外相は5日の電話会談で、尖閣問題を含む域内の海洋安保について協議した。
ただ、中国艦船のレーダー照射問題が取り上げられたかどうかは明らかでない。
オバマ政権は、中国が領有権を主張する尖閣諸島をめぐる対立が軍事的な衝突に発展することを強く懸念。
1月中旬に行われた日米外相会談で、当時のクリントン国務長官が
「日本の施政権を害そうとするいかなる一方的な行為にも反対する」
と踏み込んだ表現で中国をけん制していた。





(共同通信)2013/02/06 09:54
http://www.47news.jp/47topics/e/238102.php

【中国艦が射撃レーダー照射】
尖閣沖、海自艦に先月/米、緊張激化を懸念 中国軍の意図分析

 政府は5日、東シナ海の公海上で先月30日午前10時ごろ、中国海軍の艦船が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用レーダーを照射したと発表した。
 政府筋は沖縄・尖閣諸島沖だったと明かした。
 日本側は不測の軍事衝突を招きかねない
 「危険な行為」として中国に厳重抗議し、再発防止
を求めた。
 昨年の尖閣国有化以来対立が続く両国の緊張が高まるのは避けられない。

 防衛省で緊急記者会見した小野寺五典防衛相は、平時の位置探索などと異なる射撃用レーダーの照射は
 「極めて特異な事例だ」
と指摘。
 「一歩間違うと大変に危険な状態に発展する」
との抗議の意思を表明した。
 中国側の意図は「分からない」とも述べた。
 政府内には、尖閣問題をめぐって日本側を威嚇する狙いがあったのではないかとの見方が出ている。

 発表によると、レーダーは中国海軍所属のフリゲート艦が長崎・佐世保基地所属の護衛艦「ゆうだち」に数分間照射した。
 双方の艦船は約3キロ離れていた。
 事案が発生した正確な位置は明らかにしなかった。

 また1月19日午後5時ごろにも東シナ海で神奈川・横須賀基地所属の護衛艦「おおなみ」搭載のヘリコプターに対し、別の中国フリゲート艦からレーダー照射が疑われる事案があったことも明らかにした。
 いずれも実際の射撃はなかった。

 射撃用レーダーはミサイルなどの火器が目標を定め追尾するため、距離などを調べ、照準を合わせる機能を持つ。

 日本政府は5日、中国の在京大使館と外務、国防両省に抗議した。
 岸田文雄外相は、中国側から
 「まず事実を確認したい」
との回答があったことを記者団に明らかにし
 「大変遺憾だ。
 再発防止を強く求めていかなければいけない」
と強調した。

 安倍晋三首相は5日午後、防衛相と官邸で今後の対策を協議し、万全な対応を取るよう指示した。
 同時に
 「挑発に乗ってはいけない。
 冷静に対処することが大事だ」
と語った。

 防衛相は先月の事案発生から発表まで約1週間かかった理由について
 「正確な分析に時間がかかった」
と会見で説明した。

 ■米、緊張激化を懸念 中国軍の意図分析

  【ワシントン共同】中国海軍艦船による海上自衛隊護衛艦に対するレーダー照射について、米政府は安倍新政権下で対話の兆しが出ていた日中間で再び緊張が激化することを懸念、国防総省当局者は5日、共同通信の取材に対し
 「対話を通じて平和的に問題を解決することを望む」
と述べ、日中両国に自制を求めた。

 同省は、不測の事態にもつながりかねないレーダー照射を実施した中国軍の意図や、どのような指揮命令系統下での行動だったのかを分析しているとみられる。

 キャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は先月末、沖縄県・尖閣諸島をめぐり
 「偶発的衝突が起きかねない状況が生まれており、そうなれば地域全体にひどい結果を招くことになる」
と指摘。
 公明党の山口那津男代表が訪中するなど関係改善に向けた機運が生じていることを歓迎し、さらに対話を進めることを促していた。

 アジア太平洋地域を重視するオバマ政権は中国軍の海洋進出を警戒する一方で、同地域の経済成長を取り込むことも目指す。
 尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象だと繰り返し強調、中国をけん制してきたが、日中の衝突に「巻き込まれかねない」(米紙)との警戒感も広がりつつある。

 北朝鮮の3度目の核実験が予想される中での日中対立は、対北朝鮮での国際社会の結束も乱しかねず、早期収拾に向けて双方に自制を呼び掛けるとみられる。



wikipediaより

ゆうだち(ローマ字:JS Yuudachi, DD-103)は、海上自衛隊の護衛艦。
むらさめ型護衛艦の3番艦。
旧海軍の神風型駆逐艦 (初代)「夕立」・白露型駆逐艦「夕立」、むらさめ型護衛艦 (初代)「ゆうだち」に続いて日本の艦艇としては4代目。



「ゆうだち」は、中期防衛力整備計画に基づく平成6年度計画4,400トン型護衛艦2232号艦として、住友重機械追浜造船所浦賀工場で1996年3月18日に起工し、1997年8月19日に進水、1999年3月4日に就役した後に第2護衛隊群第6護衛隊に配属された。

2002年7月:テロ対策特別措置法に基づき、補給艦「とわだ」と共にインド洋に派遣。同年9月まで任務に従事する。
2005年3月:再び同法により護衛艦「しまかぜ」、補給艦「とわだ」と共にインド洋に派遣。同年7月まで任務に従事する。
2007年9月4日から同月9日にかけて:インド洋・ベンガル湾にてインド主催による多国間演習である「マラバール2007」に「DD-111 おおなみ」とともに参加する。
2008年7月24日:新テロ特措法に基づき、補給艦「はまな」と共にインド洋に派遣、同年11月まで任務に従事する。
2010年12月1日:第7次派遣海賊対処行動水上部隊として「DD-104 きりさめ」と共にソマリア沖・アデン湾を目指して佐世保から出航し、任務間は合計32回290隻を護衛して2011年5月9日に佐世保に帰港する。
2012年6月21日から22日にかけて:「DDH-144 くらま」、「DDG-174 きりしま」、アメリカ合衆国海軍空母「CVN-73 ジョージ・ワシントン」ほか数隻、大韓民国海軍の艦艇数隻と共に朝鮮半島南方海域にて日米韓共同訓練を実施する。

2013年2月5日の報道で、同年1月30日1000時頃、東シナ海で中国海軍所属の江衛II型フリゲートが本艦に向け火器管制レーダーを照射しことを防衛省は明らかにし、外務省は中国に対し抗議した。

現在は第3護衛隊群第7護衛隊に所属し、定係港は佐世保である。





【中国海軍射撃用レーダー照射】



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