2013年2月13日水曜日

いよいよ緊迫する日中関係:射撃管制用レーダー、ロックオン




●17日、中国海軍の艦艇が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用レーダーを照射したとされる事案について、中国の民間軍事シンクタンク・中国戦略文化促進会の羅援常務副会長が3つの側面から問題を指摘した。資料写真。



JBPress 2013.02.13(水)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37132

The Economist
いよいよ緊迫する日中関係:ロックオン
(英エコノミスト誌 2013年2月9日号)

 論争の的になっている島嶼周辺での危険なダンスは、いよいよ心配な展開となっている。
 尖閣諸島もしくは釣魚島と呼ばれる5つの小さな無人島を巡る日本と中国の武力衝突は、まだ起きそうにない。
 しかし、だからと言って武力衝突があり得ないわけではない。

 先日、日中間の対立がもう少しで撃ち合いに発展しかねない事態になっていたことが明らかになった。
 日本政府は2月5日、6日前に中国の軍艦が約3キロ離れた海上自衛隊の駆逐艦(護衛艦)に「火器管制」レーダーを照射したと発表した。
 レーダー照射はミサイル発射に向けた一歩だ。

 2月6日、安倍晋三首相は国会で
 「これは一方的な挑発行為であり、極めて遺憾だ」
と述べた。

■空中と海上で続発するニアミス

 尖閣諸島から約100キロの地点で起きたこの事件は、中国の威嚇のパターンと一致する。
 1月19日には、中国のフリゲート艦も日本の護衛艦搭載のヘリコプターを「ロックオン」したと見られている。
 尖閣諸島のうち民間人が保有していた3島を日本政府が買い取り「国有化」した昨年9月以降、中国は尖閣諸島に対する日本の主権のみならず、支配権にも異議を唱えてきた。

 両国から出発する艦船や飛行機が島周辺をパトロールし、互いの「侵入」に対して戦闘機を緊急発進(スクランブル)させ、空中および海上でのニアミスが続発している。

 島嶼の所有権に関して公式な立場を取らない米政府は、島嶼は日米安全保障条約の適用範囲内であることを確認した。
 この数週間、米国の外交筋は急遽アジアに飛び、自制を促し、「頭を冷やす」よう求めてきた。

 冷戦時には、米国とソ連は少なくとも、誤算や事故によって深刻な衝突が起きる事態を防ぐ仕組みを構築していた。
 中国と日本の間には、そのような仕組みがほとんど存在しない。

 奇妙なことに、1月30日の事件は緊張が緩んできたように思われた時に起きた。
 昨年12月に首相に就任した安倍氏と、中国の新指導者である習近平氏の間で、関係修復を目指した首脳会談が行われるという話が持ち上がっていた。
 中国は海軍ではなく主に民間機関を使い島嶼のパトロールをしてきた。

 そして中国の報道は、一様に好戦的というわけでもなかった。
 中国共産党の機関紙で、普段は国家主義を熱心に説く環球時報では先日、2人の解説者が相次ぎ、1890年代、そして1930年代と1940年代の日本の侵略によって国の発展が妨げられた中国の歴史を振り返り、慎重な対応を求めた。

■レーザー照射はどのレベルでの決断だったのか?

 その結果、日本の一部の政治家は、今回の挑発行為は艦船の司令官が下した低いレベルでの決定だったに違いないと考えている。

 与党・自民党の外交問題のスポークスマンを務める河井克行氏は、
 この事件は「中国はならず者国家だ」という印象を与えることから、中国を当惑させたと考えており、中国の軍部が暴走しているという見方は、日本政府にとっての「最大の恐怖」だと語った。

 しかし、別の可能性
――挑発行為は国の最高レベルが承認した意図的な政策である可能性――
は、それ以上に恐ろしいかもしれない。

 オーストラリアのシンクタンク、ローウィー国際政策研究所のリンダ・ジェイコブソン氏が行った中国の外交政策に関する最近の研究は、島嶼問題に対する中国側の対応は実際、緊密に調整されており、危機に対処する新機関の長として習氏が直接指揮を執っていると論じている。

 ジェイコブソン氏は意思決定にかかわる匿名の政府高官を引き合いに出し、この人物は、習氏は危険を承知しているが、同氏は強硬姿勢を取るべきだと思っている部下たちが「大袈裟な評価」を報告していると語っている。

 前政権で安全保障担当の補佐官を務めた長島昭久氏は、中国は日米同盟の強さを試していると考えている。
 一方で、総選挙の際に尖閣諸島の領有権を訴える中国に対して強硬な態度を示すことを誓った安倍氏を弱体化させることも中国の目的だと見る向きもある。

 習・安倍会談の開催は保証されていない。
 強く見られたい新しい指導者として、どちらも公然と譲歩を申し出ることは容易ではないだろう。

 ジェイコブソン氏は、日中両国は緊張を緩和するために、漁業権を共有し、パトロール活動を互いに隔日で実施することに合意すべきだと話している。
 しかし、これは事実上の共同管理が、日本が受け入れないほどの過度な要求ではなく、中国にも不足はない、ということを前提としている。

■日米首脳会談への期待

 そのためには、安倍氏は少なくとも暗に、島嶼の主権が争われていることを認めなければならず、これは日本の立場に反する。

 安倍氏は今月下旬にワシントンを訪れることになっている。
 同氏としては、バラク・オバマ米大統領が日米安保条約の重要性を再確認し、中国が抑止され、態度を軟化させることを期待しているに違いない。

 しかし、9月以降に起きた出来事はほとんど何も、中国がその方向に向かう気になることを示唆していない。


 レーザー照射を誰がやったかで、大きく意見が別れるようである。
①.艦船の司令官の指示による場合
②.国の最高レベルが承認した意図的な政策の場合
 さて、どちらだろう。
 事件直後のドタバタ劇から日本の茶番劇と言い張る流れを見るかぎり、
 「国の最高レベルの意図」によるものとは、どうにも考えにくい
 もし、最高レベルの指示で行われたなら、もう少し流れがスムースであり、言い訳も気の利いたものになっているはずであろう。
 このことは素人目にも分かることである。
 とすると、国の最高レベルと艦艇司令官の間に十分な情報の相互流通、言い換えるとフィードバックシステムが設定されていなかったか、あるいはそれが正常に動作しなかったということになる。
 解放軍海軍はどうも共産党から独自の動きをする集団になっている可能性が高い。


レコードチャイナ 配信日時:2013年2月18日 11時44分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69506&type=0

自衛隊機と中国軍機が5メートルまで接近、あわや衝突―中国シンクタンク

 2013年2月17日、環球時報によると、中国海軍の艦艇が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用レーダーを照射したとされる事案について、中国の民間軍事シンクタンク・中国戦略文化促進会の羅援(ルオ・ユエン)常務副会長が3つの側面から問題を指摘した。

①.第1に、この事案により日本の政治家が軍事的な常識を理解していないことが明らかになった。
 小野寺防衛相は両国艦艇の距離が3kmだったとしたが、3kmの距離なら肉眼で相手の艦を確認でき、しかもレーダーの死角に入りミサイルを誘導できないため、そもそも射撃管制用レーダーを照射する必要すらなかった。

②.第2に、これほど接近する場合には中国の艦艇は当然警戒や警告を行っている。
 偵察・警戒レーダーと射撃完成用レーダーはまったく別のものであり、日本側の信号弾による警告こそ危険性が高いことは誰の目にも明らかだ。

③.第3に、仮に戦火を交える事態になった場合には日本側に責任がある。
 中国の艦艇は公海上で訓練を行っていただけであり、これに接近した自衛隊の艦艇に問題がある。

 こうした事例は過去にもたびたび起こっており、中国空軍機に接近する自衛隊機は年間500機に上り、先ごろは自衛隊のF15戦闘機が中国のY-8輸送機と衝突寸前の距離まで接近した。
 距離わずか5メートルで極めて危険な行為だった。






【中国海軍射撃用レーダー照射】



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