2013年2月18日月曜日

「たそがれ」つつある中国:新華社とネットユーザーの争い



●17日、北朝鮮が3回目の地下核実験を行ったことを受け、少数の西側メディアは「朝鮮の行動は中国の対朝政策の失敗」と主張している。中国に故意に汚名を着せようとするこうした論調は、中国の専門家や学者に一斉に批判され、反駁されている。資料写真。



レコードチャイナ 配信日時:2013年2月18日 15時11分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69512&type=0

海外メディアの「中国の対朝政策失敗論」、中国の専門家が反論―中国メディア

 2013年2月17日、北朝鮮が3回目の地下核実験を行ったことを受け、少数の西側メディアは
 「朝鮮の行動は中国の対朝政策の失敗」
と主張している。
 中国に故意に汚名を着せようとするこうした論調は、中国の専門家や学者に一斉に批判され、反駁されている。
 新華社通信(電子版)が伝えた。

 中国の専門家や学者は北朝鮮の核実験について、より深く省察すべきは米国だと指摘する。
 歴史が証明しているように、武力と制裁の脅しは相手国を屈服させられないばかりか、反対にさらなる軍事力の維持・発展へと向かわせるのだ。

■「失敗論」は筋が通らない

 中国人民大学国際関係学部の時殷弘(シー・インホン)教授は
 「北朝鮮は自らの利益に基づいて決定を行ったのであり、中国の意志に照らして事を行うことはあり得ない。
 朝鮮半島の非核化については、関係国のいずれもが義務を負っている。
 北朝鮮による核実験の堅持は、各国の努力がいずれも効を奏していないことの説明にしかならない」
と述べた。

 清華大学現代国際関係研究院の劉江永(リウ・ジアンヨン)副院長は
 「『失敗論』は筋が通らない。
 一部メディアやネット上の主張は中国をけなしてけしかけるものや、下心あるものだ。
 対話による問題解決を主張する中国の立場は間違っていないし、堅持すべきものだ」
と述べた。

 中国社会科学院米国研究所の陶文●(タオ・ウェンジャオ、●は金へんにりっとう)研究員は北朝鮮の3回目の核実験後に
 「中国は北朝鮮との経済貿易関係を維持していることで、中国の対朝圧力は不十分だとか、中朝間の経済貿易関係は『国連の対朝制裁の大きな抜け穴』などと多くの国々から非難されている。
 実際には中国は国連決議を厳格に遵守している。
 国連決議は北朝鮮とのあらゆる経済関係の断絶を求めてはおらず、中朝関の経済貿易関係は隣国間の正常な関係だ」
と指摘。
 「中国は国際社会の責任あるステークホルダー、核拡散防止条約の締約国であり、世界の核不拡散体制の維持において国際社会に対して厳かな義務を負っている。
 これも北朝鮮の新たな核実験実施に対して中国が断固反対する根本的な理由だ。
 この立場を誤解してはならない」
と述べた。

■根源は米朝対立

 劉氏は
 「北朝鮮が核実験で念頭に置いているのは中国ではなく、韓国でもなく、米国だ。
 この問題において失敗したのは米国、韓国、日本の政策だと言うべきであり、より省察すべきはこうした国々だ」
と指摘。
 「北朝鮮の核実験は、制裁または高圧的政策によって北朝鮮に言うことを聞かせることはできず、北朝鮮は安全な国際環境と開放的な国際経済政策を与えられなければ強烈な危機感を抱くという問題を物語っている」
と述べた。

 中国国際問題研究所の阮宗沢(ルワン・ゾンザー)副所長はこれについて
 「現在北東アジア情勢は不均衡だ。
 韓国と日本は米国の核の傘に守られているうえ、自らの軍事力も弱くないので、二重に守られていると言える。
 一方、北朝鮮の安全保障上の圧力は主に米国からくるもので、核抑止も米国を念頭に置いたものだ」
と説明した。

 陶氏も
 「北朝鮮の核問題がこれほど複雑化したのは、米朝両国の60年あまりの敵対関係がもたらした『悪い結末』の面が大きい」
と指摘した。

■正しい道は対話と協議

 時氏は
 「北朝鮮核問題解決の鍵は依然、朝鮮半島の非核化をどう推進するかにある。様々な試みがまだ進展していない今こそ、国連安保理決議に照らして行動し、制裁措置を定め、北朝鮮の核兵器開発を制限すべきだ」
と指摘した。

 劉氏は
 「歴史が証明しているように、米国と韓国が北朝鮮に対して同時に『太陽政策』を実行していた時、朝鮮半島は多少緩和し、非核化実現について検討する条件が揃っていた。
 6カ国協議や対話メカニズムが主導的役割を発揮している時には情勢は緩和し、その反対の時にはエスカレートする。
 これは軍事演習、制裁、対立に直面すると、北朝鮮は我が道を突き進むことを選ぶことを物語っている。
 これは北朝鮮にとって自らを守るための選択だ」
と指摘。
 「中国が推し進めているのは、国連の枠組みの下で、6カ国協議を推進し、話し合いを通じて問題を解決し、朝鮮半島の非核化を促すことだ。
 この政策は今のところ核問題の解決にはいたっていないが、少なくとも摩擦を激化させてはいない」
と述べた。

 阮氏は
 「一定期間の後に各国が外交的接触を再開することを望む。
 将来的にはやはり6カ国協議のような多国間対話メカニズムによって米朝間の不信頼と敵視を解決する必要がある」
と指摘。
 また、
 「中国は引き続き仲裁と対話促進の役割を果たすべきだ。結局のところ、根本的問題を解決できるのは交渉のみなのだから」
と述べた。
(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/内山)


 中国は言い訳に翻弄されているようだが、唇寒しで言えば言うほど滅入ってくる感じがする。
 こういう言い訳を連ねると、国際社会は中国をこれまで思うほどの大国とはみなさなくなってくる。
 「北朝鮮が核実験で念頭に置いているのは中国ではなく、韓国でもなく、米国だ。
 この問題において失敗したのは米国、韓国、日本の政策だと言うべきであり、より省察すべきはこうした国々だ」
などというと、もはや責任回避以外のなんでもなく、これからは誰もが中国のいうことに納得することはしなくなってくる、ということでもある。
 中国も普通の国であり、大国だというには表現に誇張があるということになる。
 「飼い犬に噛まれた中国
ということでもある。
 ちょっと惨めたらしいのが記事から浮かんでくる中国の姿であろう。


レコードチャイナ 配信日時:2013年2月19日 12時2分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69531&type=0

<北朝鮮>虎を育てた報いは中国に
=北朝鮮をかばう中国外交をネットユーザーが批判―米メディア

 2013年2月18日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトは記事
 「中国の対北朝鮮政策は失敗したのか? 
 新華社とネットユーザーの争い」
を掲載した。

 北朝鮮の核実験を受け、中国ネットユーザーの間には中国の対北朝鮮政策が失敗したのではないかと批判する声が上がっている。
 北朝鮮は中国の“盟友”とはいえ、核兵器と弾道ミサイルの開発に成功すれば、中国もまたその脅威にさらされることになる。

 16日、新華網は
 「北朝鮮の第3回核実験後、少数の下心を持つ西側メディアは中国の対北朝鮮政策の失敗と報じているが、この手の誹謗中傷は専門家により反駁されている」
と反論する記事を掲載した。
 記事には4人の中国人研究者のコメントが掲載されているが、皆一様に中国の対北朝鮮政策が失敗したとの観点に反論している。

 その後、中国のネットでは新華社の記事を批判する声が広がった。
 コメントが掲載された4人は東アジア問題でたびたびテレビに登場する御用学者だとの指摘から、核開発を思い止まらせなかったことを失敗ではないとするならば、国際社会への挑戦だとの批判もある。

 興味深いのはいわゆる左派からも中国の北朝鮮政策に対する批判の声が上がっていることだ。
 曰く、米国と同調して北朝鮮の核開発に反対していたことが失敗なのであり、中国は北朝鮮の核開発を認めるべきだと説いている。

上述の新華社記事は香港の鳳凰網にも転載された。
 1000近いコメントが続いたが、その多くは中国の対北朝鮮政策が失敗だったと批判している。
 「虎を育てた報いは中国が受けることになるだろう」
とこれまで北朝鮮をかばい続けてきた中国外交を嘆くコメントもみられる。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/02/18 09:50
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/02/18/2013021800641.html

核問題:中国メディアの主張に温度差

 春節(旧正月)の長期連休が終了した中国国内で、北朝鮮による3回目の核実験に対する強硬な対応を主張する世論が高まっている。
 民間の専門家だけでなく、政府系の研究者や官営メディアも加勢している。

 一方、新華社など官営の主流メディアは反北朝鮮世論の火消しに躍起だ。
 このため、北朝鮮の核問題への対応をめぐり、中国指導部内部で論戦が起きているのではないかとの観測も生まれている。

 人民日報の姉妹紙、環球時報は17日付社説で
 「中国は対北朝鮮援助を減らすことにより、核実験に反対する意思を行動で示すべきだ」
と書いた。
 国連安全保障理事会とは別に中国が単独制裁に踏み切るべきだとする論調だ。
 同紙は
 「中国は依然として北朝鮮の友好国であり、中国が韓米日のように北朝鮮封じ込めに乗り出すことはあり得ない」
としながらも
 「誰であっても協力するかどうかによってわれわれの態度が変わることがあり得る点を鮮明にすべきだ」
と主張した。

 中国商務省傘下の国際貿易経済協力研究院の梅新育研究員は同紙への寄稿で
 「北朝鮮が開発した核とミサイルは不測の事態で中国に向けられることもあり得る」
と指摘した。

 中国の代表的な韓半島(朝鮮半島)問題専門家として知られる北京大国際関係学院の朱鋒教授は16日付シンガポール紙聯合早報への寄稿で
 「現時点でも金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の盾になるべきだという中国の官僚がいたとすれば頭がおかしい。
 新たな最高指導部がそう考えるとしたら、行き過ぎた仏の慈悲だ」
と切り捨てた。

 有力週刊経済誌、経済観察報も16日、
 「中国が惰性で北朝鮮の核問題を対岸の火事扱いしてはならず、
 北朝鮮が核の放棄を拒否するならば、北朝鮮を捨てるべきだ」
と主張した。

 しかし、新華社は16日の評論で、専門家の話を引用し
 「制裁と高圧的な政策だけでは北朝鮮を国際社会によるコントロールに従わせることはできない。
 むしろ軍事力の開発に集中することになるだろう」
とし、行き過ぎた制裁には反対した。
 新華社はまた
 「中国による(従来の)対北朝鮮政策が失敗だったという主張は事実とは異なり、
 対話と交渉を通じ北朝鮮の核問題を解決するという中国の努力は正しかった。
 北朝鮮の3回目の核実験は米国の対北朝鮮敵視政策によるものだ」
と指摘した。



サーチナニュース 2013/02/18(月) 11:30
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0218&f=politics_0218_003.shtml

日米ほどでないにしろ、朝鮮を“懲罰”せよ…中国で社説

  中国メディア・環球時報は18日、3度目の核実験を強行した北朝鮮に対して日米韓が制裁の準備を進める中で、中国も自国の利益を踏まえた上で制裁に加わるべきとする評論記事を掲載した。

  記事は、
 「北朝鮮の活動は我が国の利益に抵触しており、一定の『懲罰』を与えることは必要だ」
とする一方、
 「問題は、『懲罰』の節度やボーダーラインはどこにあるのかだ」
と提起した。

  そのうえで、中国が仮に日米韓の制裁に全面的に加われば
 「北朝鮮の核開発を止められないばかりか、北朝鮮に敵視される可能性がある」
ため、避けるべきだとした。
 一方で、何も制裁しないのでは、北朝鮮に
 「中国はわれわれを恐れているから、何をしても大丈夫」
と誤解をさせかねず、さらには国際社会からも受け入れられないと論じた。

  そこで、「懲罰」は対北朝鮮援助の削減とし、しかも日米韓の制裁強化よりも際立たない程度にとどめるのが
 「中国が世界的な制裁に参加する具体的なラインである」
と主張した。

  また、
 「北朝鮮の盟友となるのは難しく、ましてや日米韓の盟友などにはなり得ない」
ことから、中国は今後も「調停係」であり続けるべきで、その立場を踏まえた上で対北朝鮮政策の調整を図らなければならないとした。

 【環球時報】は人民日報社が発行する日刊紙。
 中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙と考えてよい。
 対外的に強硬姿勢を示す「愛国論調」が目立つ紙面づくりをしている。


 中国にとっては行き詰まった尖閣問題から民衆の目をそらすにもってこいの事件なのだが。
 しかし、相手がこれまで中国と親密であった北朝鮮ではなんとも悲哀である。
 何しろ尖閣諸島は洋上の孤島で中国にとって直接の利害はない。
 だが、北朝鮮となるとまるで逆。
 地続きの長い国境線をもち、古くからの友好国であり、そして多大の援助をしてきた国である。
 そういう国が国境線の向こう100キロていどでところで核実験を行った。
 100キロというのはどのくらいかというと、あの東京から箱根まで走る箱根駅伝が110キロである。
 つまり、東京住民にとっては箱根の麓、
 つまり熱海あたりで核実験をやられたとおなじことになる。
 中国にとっては、どうにもいたたまれない状況に追い込まれている。 
  昨年の日本、そして今年の北朝鮮と中国は踏んだり蹴ったりである。
 せっかくの世界ナンバー2になってウキウキムードに浸っていたのに突然冷水をかけられるがごとき事態が立て続けに起こっている。
 それに大気汚染の問題と汚職問題がからんで国内も安心できるものがない。
 内外共に、客観的にみると中国は「たそがれ」つつあるというように見える。




【中国海軍射撃用レーダー照射】


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